筋肉量と寿命の関係 ―筋肉の量が多いほど長生きできる

75~84歳の高齢者の歩く速さと、10年後の生存率を調べた研究で、筋肉の量が多いほど長生きできることがわかってきた。
この研究の内容は、青信号で横断歩道を渡りきれる速度の半分程度の秒速0.4m未満の遅いグループと、成人が普通に歩く秒速1.4m以上の速いグループに分けて行われた。10年後の生存率は、女性では歩くのが遅いグループが35%であったのに対し、速いグループは92%であった。男性も、歩くのが遅いグループの15%に対し、速いグループは50% と3倍以上であった。
この結果は、歩くのが速い人は長く生きられることを表している。歩行速度は筋肉量と関係しているため、筋肉が多い人ほど長生きできるといえる。今、歩くことが遅い人も、運動や適切な食事、また、ほかの疾患の治療によって速く歩くことができるようになれば、生存率を伸ばすことも可能である。

・筋肉が減ると ―転倒のリスクだけでなく病気のリスクも高まる―
筋肉が減ると、転倒するリスクが高まるだけでなく、肺炎、感染症、糖尿病などさまざまな病気を発症するリスクも高くなる。
筋肉が減ると、免疫機能が低下し、細菌感染に対する抵抗力が低下し、肺炎などにかかりやすくなる。
また、筋肉は血糖値の調節も行っている。食事をとると、血液中の糖(ブドウ糖)の量が多くなる。糖の多くは、脂肪に分解される前に、一時的に筋肉に溜め込まれる。筋肉が多いと、糖の調節は問題なく行われるが、筋肉が減ると、糖の保管場所が減少する。その結果、糖を調節する力が低下し、血糖値の変動が大きくなり、糖尿病になる可能性が高まる。
筋肉は、直接手で触れたり、歩く速さ調べることで量の減少がわかり、健康管理の指標になる。

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